バイト編【14】

2006年02月14日 01:40

バイト編【14】


▽月○日。


さて、今日は午後から閉店までの勤務です。
夕方からは怖がりのバイトさんと幽霊否定派のパートさんと三人でお仕事です。

今日は暇だからさっさと店じまいして帰りたいね〜なんて話をしながら
暇な時にやる仕事、通称・内職をちまちまとやっていました。


ピロリロリロ〜ン♪


三人とも即座に反応し、顔を上げ、お客様が入ってくる自動ドアの方に顔を向け


「いらっしゃいませ〜!」と元気良く言いました。


レジに一番近かったバイトさんが接客に出ました。

「いらっしゃいませ!」


暇でしたから内職の手を止め、お客様は何を注文するか見守っていました。

若い男性のお客様でした。

正面にある自動ドアからふら〜っと入ってきて

レジの前あたりで(私達から見て)左に曲がり

L字に伸びたショーウィンドウに沿ってスーッと移動し

インスタントのお味噌汁などが置いてある棚をすり抜け、

鏡貼りの壁の中にスゥッと消えていきました。



私は調理場の奥にいたパートさんをちらっと振り返りました。

今の出来事を確実に見ていたようで放心状態でした。


とりあえずバイトさんの方が心配だったので
私はすぐにカウンターの方へ走って行きました。

店内にお客様が居ない事を確認。

レジ台の影に座り込んでいるバイトさんを見つけました。

「大丈夫?立てる?」と訊きましたが、

首をぶんぶん振り、言葉を発しようとしているのか

口は開いているのに言葉にならず、震えていました。


バイトさんは腰が抜けて立てないようでした。

パートさんに手を貸して!と叫んで呼びましたがこちらへ来る気配がありません。

仕方なく一人で出来るかしら?と思いながらも
バイトさんの体を起こし、抱きかかえて
なんとか調理場の奥に連れて行き、座らせました。

パートさんは顔面蒼白で流しにもたれ掛かるようにして
やっと立っているという感じでした。
何事かぶつぶつと呟いていました。


バイトさんは泣きだしていました。
泣きながら辞める!帰る!嫌だ!・・・喚いていました。


時計を見ると後30分で閉店の時間でした。
パートさんに「(バイトさんと)一緒に居てあげて!」とお願いして
一人で閉店の準備に掛かりました。

私は内心ドキドキしていましたが何故か冷静に行動していました。